レコード「真言声明」

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ここ数日、法事も葬儀も無く、静かな日々が続いており、レコードのデジタル化作業も進んでいる。
天台の「大原流 魚山声明」全3巻を2セット聴いて、今、真言声明にかかっている。
これも、3セット持ってる。
ヤフオクとかに出たのを手に入れたもの。
何せ、昔のレコードなので、盤面の状態がピンキリであることが予想され、できるだけ手に入れておきたかった。

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「第19回芸術祭参加」と入ったのは珍しい。
なかなか見なかった。

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プチプチノイズが、多い。
いよいよ木工ボンド・パックか?、洗濯か?

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何と、90ページの冊子が付く。
これの内容が凄い。

金田一春彦博士の、そうとうツッコんだ真言声明に関する研究がなされている。
ウチの宗派など、そういう研究者が皆無に等しいから、こういった研究に頼るしか無い状態だった。

今となっては、研究も進み(豊山派が進んでるがウチは相変わらずダメ)、金田一博士の論にも間違いが目立つが、この研究が、現在もなお声明研究の基盤になっている、という感がある。
それは確か。

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国語学者の金田一春彦博士が、真言声明研究の第一人者という感じになっている。
晩年近く、テレビの「笑っていいとも!」に出てらして、物腰柔らかい良いおじいちゃん、という感じで親しまれていた感じだった。

逝去された時、遺言だったのだろうか、請われて本山から出向いて「佛遺教経」を読誦したと、本山の講習会で聴いた。
我が宗の「佛遺教経」が大変お気に召したようで・・。

古い日本語のアクセントを研究されていて、行き着いたのが「四座講式」だった。
語り物の声明は、だいたいがアクセントを強調するように節が付いている。
それが鎌倉時代の京都のアクセントを残しているとして『四座講式の研究』を著された。
言われてみて、節ではなく、アクセントとして読むと、何となく関西弁の感じになる。

「四座講式」には鎌倉時代のアクセントが反映されているということを証明するために、真言声明の研究をされて、歴史から音律まで事細かに研究された。
高野山・南山進流の岩原諦信師も存命で、中川善教師もおられ、良い時代に研究されたと思う。

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昭和39年のレコード。
録音の音質も良いとは言えず、盤面もまぁ、致し方ないか・・・。

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興味深いのは、唱える雰囲気が違っていると感じること。
テンポが今の「感覚」よりも、遅かったり、節が違っていたり・・・それは「空気感」のようなもので・・・具体的にどうと言える物では無いが「雰囲気」が違う感じがするのだ。
今の能化様が若手という感じで唱えておられたり・・というのも感慨深い。

この後、昭和52年に出た智山声明のレコードもあるが、これは、ちょっとは練習したな、という感じがある。

この「真言声明」は、どうも、キチンと申し合わせをして練習をした感じがしない。
それぞれ、声明の大家かその予備軍の方が集まって、ちょっと合わせて唱えて、という感じがする。

我々もそうだ。
普段からそういう感じでやっている。
まあ、お互いに分かっているから、大きくは違わないし、微妙な違いは拘らない。

その点が、洋楽のコーラスとは違う所。
そもそも、節回しに決まりがあるようで、無い。
伝承に違いもあり、個人差がある。
だから、ひとつの関係系に向かって、皆で合わせて行く、というような、例えばコーラスのようにキチンと合わせる、という概念が無い。
そのゴチャッっとした感じが良い、という面もあるが、音を探っている所もあるし、申し合わせが必要と思える所も、キチンと成されていないようだ。

録音して「芸術祭参加作品」になるのだから、ある程度は合わせる努力をしていただきたいものだ、と思うが・・・ま、しゃ〜ないか・・・。

それぞれの、まぁ、伝承があり、プライドもあるから、なかなか難しいことでもある。
昔は、余計にそういう面が強かったんだと思う。

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何にしても、貴重な音源ではある。
今の通説とは違っている部分などあるので、色々参考になる。

さて、これは、今後どうしたものか?

ネット上の喰らうド・・・いや、クラウドに上げて、皆がアクセスできるようにすれば良いのか、例えば、YouTubeの限定公開にすれば良いのか?

YouTubeが案外良いのかも知れないな・・。


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