『シン・ゴジラ:オルソ』

P1080448.JPG

そうか、そうか、ここは「ゴジラロード」だったんか・・・と思いながら、人が溢れる新宿歌舞伎町方面に歩く。


P1080547.JPG

おっぱいの異様に大きい美少女アニメ的キャラだらけの秋葉原に対して、新宿コマ劇場後のホテルが、静かに、しかし地の底にたぎるマグマのように、熱く、重々しくサブカルチャーを押し出す。

東宝のアイコンが「ゴジラ」ということになったんか?!


P1080451.JPG

今回『ゴジラ -1.0』という映画が作られた。
『シン・ゴジラ』の後、どんな「ゴジラ」を作るのか、期待している。


P1080484.JPG

今回、わざわざ新宿まで行ったのは『ゴジラ -1.0』公開記念のイベント「山崎貴セレクション ゴジラ上映会」の第4回が『シン・ゴジラ:オルソ』だったことと、庵野氏と山崎氏の舞台挨拶の会場はダメだったが、中継の映画館のチケットが取れてしまったから、行くしか無い、と。

この新作ゴジラに合わせてなのか、庵野氏がやったのが、映画のモノクロ化。
「おいおい、そう来たか」だった。
「モノクロ化」ということだけでなく「オルソ」とは・・・!


P1080490.JPG

「オルソ」というのは、フィルムの感光特性を言う。
「オルソ」と「パンクロ」と言っていた。

「オルソクローム」と「パンクローム」と言う。
「オルソクロマチック」と「パンクロマチック」とも言う。

「パンクロ」は、可視光線全体に平たく感度がある一方「オルソ」は、赤に対する感度が無いので、赤が黒に写るという特性があった。
元々のフィルムの特性がそういう物だったのを、色々頑張って次第に広げていって「パンクロ」にしていったワケだ。

モノクロ印画紙はしばらく「オルソ」で、引き伸ばしの時には、印画紙に観光しない深く赤いライトを点けて作業をしていた。

「オルソ」は、印刷業界では定番で、製版用のフィルムはずっと「オルソ」だった。
漫画家さんの原画をご覧になったことがあれば、下書きを水色の鉛筆でされているのに気がつかれたことと思う。
あれは、水色は写らない、いや逆か、写りすぎて白になってしまう、ということ。
逆に、写真を入れる部分には版下に赤黒い紙を貼って製版用のネガフィルム上で透明になるようにしていた。
製版フィルムでは水色=白、赤=黒だったということ。
だから、カラー写真をそのまま製版すると、オルソで出たので、違和感があった。

さて『シン・ゴジラ:オルソ』はというと、本当にオルソ風にしていた感がある。

「ガッヅィ〜ラ」のオネイサンの口紅が真っ黒に写っていたし、老境の俳優さんの肌のシミとかが目立って写っていたので、そう感じた。
昔だったら「白粉」使って滑らかにするんだけれど、カラーをオルソにしたために、この点は、昔のモノクロ映画とは違って、凄く迫力があった。
俳優さんにとっては厳しい感じだろうけれど・・・


P1080536.JPG

当ブログでも、ここ数日、偶然モノクロ作品を上げていた。
単純に言ってしまえば「モノクロは作品化しやすい」ということ。

モノクロしか無かった時は、それが「記録する」という目的だったのだけれど、カラーができてからのモノクロは、対象の抽象化、という感じになるのだと思う。
対象物そのものの「存在(感)」と、モノクロのトーンによるその表現、ということになる。
色による印象がないのっで、見る方も、その意識を抜いて、対象のみ、一枚の写真としての存在感のようなものになるんだと思う。

『シン・ゴジラ:オルソ』では、色情報が無くなることで見えてくるものがあったように思う。

元々が、最初のゴジラのリメイクと言っていいものが出発点だったと思う。
『シン・仮面ライダー』然り『シン・ウルトラマン』然り、だ。
今、ゴジラの物語を作るとすると、あるいは、今のこの国にゴジラが来たらどうなるか?
・・・それがテーマだったんだと思う。
今の日本という現実と、ゴジラという虚構がぶつかったものが『シン・ゴジラ』だったんだと思う。

庵野氏が作りたかったのが最初の『ゴジラ』であるならば、モノクロこそが最適だったのかも知れない、そう思えた。

また、モノクロのトーンという点では、特に、夜のシーンと、夜のゴジラが凄かった。
黒い体の一部が、内部から赤く光っている所の生物であってそうでは無い感が薄れたが、それ以上に、モノクロのゴジラは、やはり、迫力があった。
赤い光もオルソのせいか光り方に不気味さがあったように思える。

ただ、窓を背にして逆光で撮られた人物の顔は潰れてしまっていた。
コレはカラーだと分かるが、オルソ・モノクロームだとダメだった。


P1080508.JPG

ところで、最初のゴジラはどうしてモノクロだったのか?
最初のカラー映画は私が産まれた頃にはできていたはすだけれど・・

そう言えば、かの黒澤明氏も、最初はカラーの撮り方ができなかったからモノクロで撮っていたと聞く。
カラーとモノクロでは撮り方等々まったく違ってくるので、映画界自体が混沌だったのだろう。
テレビもモノクロだったし。
オプチカル合成などカラーでは対応できなかっただろうし、特撮しかり、だったのかも知れない。
特撮のカラー化の最初は『ウルトラマン』だった。


P1080461.JPG

P1080491.jpg

終わって映画館を出ると、新宿の街には人が溢れていた。
本当に溢れていた。
大丈夫なのか?東京!・・・と思う。


P1080438.JPG

円安の効果アリで、外人さんが多い。
この人混みで、マスクをしている人が少ない感じ。
本当に・・大丈夫なのか?東京!


スクリーンショット 2023-10-27 23.41.37.png

庵野氏は、こういう時にMCをする。
『シン・仮面ライダー』のときもそう。
おそらく「専門の司会者」を嫌ったのだろう。
作品に対する愛はおろか、興味さえも無さそうなお仕事司会者が嫌だったのではないか?、日本最強のオタクとしては。
ま、聴いている方もそれでよい。

スクリーンショット 2023-10-28 0.24.16.png


【カメラの話】

IMG_0425.jpeg

今回の取材はパナソニックGX7Ⅲ+12-32mmキットレンズ。
侮り難しのキットレンズ。
このコンパクトなカメラとレンズでこれだけ写れば言うことない。
μ4/3は小型こそがよろしい。
この路線の新型が欲しいところ。
パナソニックは、やっぱり、安定して色が良い、という印象。
「良い感じだなぁ〜」と思うことが多い。
夜でも、これくらいなら左程高感度にならないので大丈夫。


この記事へのコメント