お盆の塔婆書きもはかどっているので、ちょっと映画に・・。
『シン・ウルトラマン』も観たいけれど、そろそろ終わっちゃいそうなので『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』へ。
15:30からの回。観客4人(ワタシ含む)(^^)
冒頭に『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』は、テレビ版『機動戦士ガンダム』第15話の作り直しであるとのお断りが出る。
このお話は『機動戦士ガンダム』の中で、ストーリーの流れとは関係なく挟み込まれた話である。
『巨人の星』のなかで、時々「沢村栄治物語」とか、戦争中の話とかが盛り込まれるよういなもの。
『巨人の星』などの場合、テレビ版アニメが、マンガの連載の話の進行との兼ね合いでの「つなぎ」に作られる。
『機動戦士ガンダム』の場合は、話数調整もあったろうが、まあ、戦争という極限状態の中で起きる、ストーリーとは別のお話、というものがストーリーの下支えになるものでもある。
一方で、アニメというものは手間が掛かり、製作のスケジュールが合わなくなる。
一週間で1本が作られる訳では無くて、いくつかの班が並行して違う話の絵を作って行く。
この当時、何本かに1本が「ハズレ」ということがあった。
例えば、『宇宙戦艦ヤマト』なそは、大きく分けて二人の作画監督と呼ばれる人があって、それぞれに担当する回で、登場人物の顔が2種ある、ということもあったのだ。
日本人の有名なアニメーター(原画家)が描いた濃密に動くとか、絵が綺麗とか、動きが良いとかいう回があるかと思えば、全て外注による(主に韓国とか台湾だったか?)場合など、動きも絵も変、と言うことがあったのだ。
この『機動戦士ガンダム』第15話「ククルス・ドアンの島」もそうだった。
この回は特に酷く、マニアの中では語り草で・・・「作画崩壊」という言葉で語られる、代表作のようなもの。
それは公開に先立った監督・安彦良和さんがインタビューで答えている。
それは見るに堪えないもので、見ていなかったが、今回、作るに当たって見てしまった、と。
確か、安彦氏は、ガンダムの制作中に倒れられて、途中から関わっていない。
でもそれはもっと後だったようにおもえるから、この時は、単にチェックしたりする時間が無かったのだろう。
そのせいで、妙にスマートなザクだったり、顔が面長だったりする。
ストーリーもベースになるのは良いのだが、ククルス・ドアンの操るザクが、武器を持っておらず、石を投げてミサイルを迎撃したり、アムロの乗るコアファイターを落としたり、ジオンのザクが来れば、パンチだけで倒す、という「離れ業」をやってのける。
ストーリーの細かい点もオカシイし、それを演出するのもオカシイ。
オカシイ尽くめのお話だったのだ。
これを作り直したい、という安彦氏の思いが実った、ということだ。
ワタシとしても、オリジナルを見てはいたが、とっくに忘れている。
30分だったテレビ版の話を映画版に引き伸ばした作品である。
ただ、ククルス・ドアンが、なぜ島に残って子供たちを育てているのか、という肝心の所がよく説明されていないように思えた。
ジオンにいた頃は凄いパイロットだったとかいう描写はあり、自分の攻撃で親を失った子供を見たシーンがあるが、それだけで想像しろ、ということだったか。
荒れ果てた島を耕しての生活にしては、食事が豪華すぎるとか、違和感もあった。
アムロがククルス・ドアンのザクを海に捨てるシーンがある。
「ドアンに戦いの匂いがあるから戦いになる」と言ってその匂い=ザクを海に投げ捨てる。
そのアムロは、これからどんどん戦争の渦の中を戦い抜かねばならない。
それどころか、劇中で、敵兵を踏み潰したり、ガンダムを探して歩き回ったことで、島の地形を熟知して、ドアンには初め地形を活かした戦法に負けたが、襲ってきたジオン兵には、地形戦で勝つ。
アムロは、戦いに秀でた存在に成って行く。
本当は自分も戦いから離れたいと思いながら、続けなければならない自分がいる。
自分の気持ちとは裏腹に、戦争に特化し、ますます強くなってゆく自分とガンダム。
ドアンは、子供たちを守らなければならない。
そのためにはザクがあってはイケナイ。
このあとも戦わなければならないアムロのガンダムが、ドアンのザクを投げ捨てるという・・・そのザクは自分の気持ちでもある。
ドアンはここに残り、自分は戦いに向かう。
戦うのは自分でいい。
そんな気持ちが見えて・・・この瞬間、泣きました・・・
そして、最終回・・・
アムロはずっと操縦し戦ってきたガンダムを戦いの中で失う。
最後、コアファイターに乗って宇宙に飛び出す。
最後の最後、アムロはコアファイターを捨てて、仲間たちのことろに向かう。
「ボクには、まだ、帰るところがある。こんな幸せなことはない」・・・と言いつつ・
ここで、アムロは、自分でガンダムを捨て、戦争から離れることができたのだ。
ドアンの話のラストが、ここに繋がるんだと思う。
そう思ったら・・・泣きますよ〜。
おまけ・・・
ガンダムの声優さんが随分とお亡くなりになってしまった。
このセイラさんもそう。
この声が「潘めぐみ」さん。
なんと、テレビ版ガンダムの「ララァ」の声優さん「藩恵子」さんの娘サンだ。
聞くと、やっぱり、セイラなのにララァの声が聞こえてきてしまう。
母子だなぁ・・・・と。
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